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新聞掲載記事

更新:2018/10/31

統計でみる中小企業の特許~支援事業や助成金の利用~

  今年も特許庁から「特許行政年次報告書2018年版」が公表されました。中小企業における知的財産活動の状況
 はどうでしょうか。特許出願件数などを見てみましょう。
  2017年の中小企業における特許出願件数は約4万件(前年比0.6%増)です(図1)。特許出願全体の約15%に
 相当します。増加傾向ではあるものの、中小企業の数(全企業数の99.7%以上)からすれば、特許の取得及び活用
 に積極的な企業は未だ少数に留まると見ることもできます。特許を取得する上で最大のネックは費用ではないでし
 ょうか。特許の取得までには、出願費用(書類作成料、特許印紙代)、審査請求料及び特許料などが必要です。審
 査請求料と特許料については、一定の条件を満たせば軽減を受けられます。中小企業を対象とした軽減措置の詳細
 は特許庁のウェブサイトで確認することができます。
  一方、中小企業の海外展開の状況に目を向けると、中小企業における海外への特許出願件数は約6千件(2016年)
 であり(図2)、前年比で7.7%の増加です。中小企業の海外進出が進んでいることと、海外進出の際に特許取得が
 重要であることの表れといえるでしょう。
  海外進出にあたっては権利侵害や模倣被害への対策が重要です。また、知らずに他社の権利を侵害し、慣れない
 海外での訴訟に巻き込まれるケースも想定されます。自社の権利のみならず、他社の権利への配慮も大切です。と
 はいえ、多くの中小企業では費用や手続の面などから、十分な対策を取れずにいるのが現状ではないでしょうか。
 そこで活用したいのが、特許庁等が提供する中小企業向けの支援事業です。例えば、海外進出や海外事業展開に関
 する相談には、(独)工業所有権情報・研修館(INPIT)海外展開知財支援窓口を利用できます。また、海外での
 特許取得にかかる費用については、特許庁による中小企業等外国支援事業として、中小企業知的財産活動支援事業
 費補助金が用意されており、一定の条件を満たせば、特許出願にかかる費用の半額の助成を受けることができます。
 海外進出する際には是非利用したいものです。
  国内及び海外での事業展開を有利に進めるため、また、トラブルの未然防止のためにも、知財を活用することが
 望まれます。海外での特許取得は手続が煩雑で費用もかかりますが、上記の支援事業や助成金等を積極的に利用す
 るとよいでしょう。
                                           弁理士 萩野 幹治

(図1)出典:特許行政年次報告書2018年版 (図1)出典:特許行政年次報告書2018年版

(図2)出典:特許行政年次報告書2018年版 (図2)出典:特許行政年次報告書2018年版