特許紛争物語~おにぎりパック事件第3話「警告を受けたときには」~/教育機関支援機構 弁理士 塩谷 尚人
- 特許(発明)
- 契約/紛争
近藤パリ子が販売するおにぎりパックの類似商品を製造販売する芹沢ノリオは、近藤パリ子が取得した特許権を侵害しているとして、警告された。対応に困ったノリオは、ベテラン弁理士である新見タダシに相談を行った。
ノリオ「新見センセ~特許権を侵害しているとして警告を受けて、えらい困ったことになってしまいましたわ!わての商品(参考図C)、ほんまに、パリ子はんの特許権(参考図A)を侵害してますの?」
新見「うーん・・・ノリオさんの商品におけるダイヤ形の孔は、まっすぐに切れるように入れたもので、ミシン目といえるでしょう。このため、特許権を侵害していないとの反論は難しいですね。」
ノリオ「そうでっかぁ。そらしゃーないですな。ほな切腹しなければあきまへんか?」
新見「なぜそうなるんですか!?」
ノリオ「えーだって、この国では、何か不始末を起こした時に切腹するのが武士の謝罪方法でっしゃろ?」
新見「いつの時代の話ですか!まあそういう時代が実際にあったのは驚きですが・・・。そもそもあなた社長であって、武士でないでしょ。それにまだあきらめる必要はありません。特許無効審判を請求して、特許を無効にしてしまえば、特許権を最初からなかったことにできるのです。最初からなければ、侵害とはなりません。」
ノリオ「そりゃ、いいこと聞きましたわ!早速お願いします!」
新見「ただし、無効にするには何かしら根拠が必要で、例えば、進歩性を否定できるような文献を探す必要があります。」
ノリオ「そりゃ、いいこと聞きましたわ!早速お願いします!」
新見「文献調査には費用が掛かるのですが・・・。」
ノリオ「やはり、切腹して謝罪するしか・・・。」
新見「やめてくださいっ!わかりました。特別に協力して調べてあげます!」
後日、新見先生は、証拠調べを行って特許無効審判を請求しました。しかしながら、証拠不十分で特許権を無効にするには至りませんでした。
新見「士業なので、切腹して謝罪いたします!」
ノリオ「やめんかいっ」
どうなるノリオ&新見センセイ!(次回に続く。この物語はフィクションです)
第1話及び第2話は日本弁理士会東海会のウェブページで読むことができます。
参考図A:パリ子の特許/参考図B:ノリオの特許/参考図C:ノリオの商品