特許出願で有効な面接審査/弁理士 松井 勝義
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面接審査は、出願中の案件について、特許庁審査官と面接をして出願人の意見、補正案について相談できるものであり、大変お勧めである。
「面接審査」という文字面からは、面接で特許出願の審査を受けられるのかと思われてしまうが、特許出願の審査はあくまで書面主義であり、面接は書面での審査を補充するものである。面接の場で査定がされることはなく、拒絶理由通知に対しては、意見書、手続補正書などの書面の提出は必須である。
出願中の案件とはいっても、まだ拒絶理由通知が発せられていないもの、あるいは特許査定が出ているものは、審査官と面接できない、あるいはする意味がない。
結局、拒絶理由通知を受けており、面接しないと、書面のみでは意思疎通が図りにくいものが対象と考えてよい。面接審査によればサンプルを持参したり、動画を映して説明することもでき、発明を理解してもらいやすくなる。
更に、面接審査の利点として、予め補正案を審査官に送って見ておいていただけるという点がある。面接時にその補正案を基に意見を交換できるため、拒絶対応一回分に相当する感がある。また、審査官から新たな補正案を示される場合もあり、特許性を高める上で大いに役立つ。
審査官との面接において、話の内容が分かりにくい場合は、適当に流さず、何度でもよく確認したい。その後で意見書、補正書を作成しなければならないからである。審査官から口頭で補正案を示される場合など、メモすることは可能なので、しっかりと書き留めたい。ただし、録音禁止など、特許庁の「面接のガイドライン」はしっかりと守るようにすべきである。
面接審査を受けるにあたっては、当然のことながら事前準備を十分に行い、どういう順序で何を話すべきか、整理しておくべきである。そして、出願人側が弁理士を含めて複数名で出席する場合には、前もって打合せをして意思疎通を図っておくことが好ましい。
面接審査は審査官と個室で行われるものではあるが、面接記録、審査官に事前に送付した補正案の内容なども閲覧の対象となる点には注意が必要である。
拒絶理由通知に対する意見書提出期間内には、意見書、手続補正書等の提出は必要であり、面接審査を受けることにより意見書提出期間が延長されることはなく、期限に余裕がない場合には、期間延長の手続をしておくべきである。
以上、私の経験を踏まえて面接審査について述べた次第であるが、面接審査に臨む方の少しでも参考になれば幸いである。