AIのすすめ/弁理士 佐藤 寿
- 時事
「天は人を上下に分けず、全員が同じ立場で生まれる。心身の力で自然の資源を活用し、自由に生きて互いに尊重し、安らかに暮らすことが天の意図である。」
この文は福沢諭吉の「学問のすすめ」の書き出しを新しい生成系AIである"ChatGPT"に百字以内で要約させたものです。文章を書くことを生業にしている筆者から見ても実用に足る文章作成力がありそうです。
このような生成系AIでは、ネットでアクセス可能な膨大な情報から学習し、つなぎ合わせることで、文章作成だけでなく添削、翻訳、簡易な市場調査、一般的な経営相談等もできます。
しかしながら、生成系AIでは、上述した機能であるがゆえ「確率論的なオウム」や「模倣的AI」と揶揄されることもあるように、入力した秘密情報が第三者に流出するおそれがあり海外では早くも情報の流出事件が発生したり、生成した文章には著作権が認められないおそれがあるという別の問題もあります。
以上を踏まえ筆者は今のところ公開用文章の作成や一般的な情報収集に限り活用していますが、スタートラインに立ったばかりのAI技術をそのリスクを理解して経営資源として活用することは新しい時代の企業経営において重要であると感じています。