新聞掲載記事

絵描き歌チェック/弁理士 清水 聡

  • 特許(発明)
  • 権利取得

 特許を出願すると、原則として出願から1年6カ月後に公報が公開されます。公報の特許請求の範囲には、請求項という項目があります。請求項には、あたかも「絵描き歌」(絵の描き方を歌詞にすることで、指定通りに描けば、自然と絵ができる遊びの一種)のように、発明の要素が互いに関連付けられて記載されています。「1本の棒」や、「ヒビの入った三角定規」が「かわいいコックさん」を構成するように、発明の各要素が互いに関連し合って発明が構成されます。
 私は、自分の作成した請求項について、図面を参照せずに絵描き歌をしてチェックすることがあります。発明の要素が相互にどのように関係しあっているかに注意しながら、請求項の記載に従ってお絵描きします。途中で発明の要素同士の関係が分からなくなって描けなくなったら、その請求項は未完成です。書き直しです。
 絵が描けたら図面と見比べます。図面と同じ絵が描けたなら、一安心です。あとは、発明を限定しすぎていないかをチェックします。
 図面と違う絵が出来上がった場合は、仕方がありません。もう一度書き直しです。どこで間違えたか見直して、表現を修正します。
 絵描き歌のようにして請求項をチェックすると、発明の輪郭が浮かび上がってきます。皆さんも試してみてはいかがでしょうか。

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