新聞掲載記事

弁理士になるには/弁理士 成瀬 貴博

  • 弁理士会

 弁理士になる前、会社員をしておりました。会社勤めに不安を感じ、強力な資格を取得し、もしもの時に備えようと思い、弁理士受験を始めました。弁理士試験は想像以上に難しくて、合格率は6~10%しかなく、これを知った時には、心が折れそうになりました。さらに、弁理士試験は、5月にマークシートの一次試験、7月に論文の二次試験、10月に面接の三次試験が約半年かけて行われ、異なる3つの試験にそれぞれ合格しなければなりません。
 これら3つの試験は法律の知識を問う試験であり、技術系の私は弁理士受験を始めるまでに法律を勉強したことがなく、苦労しました。
 マークシートの一次試験は、法律の知識が問われます。勉強すべき範囲は、特許・実用新案法、意匠法、商標法だけでなく、著作権法、不正競争防止法、さらには国際的な条約も含まれます。範囲が広いため膨大な時間を要し、長い期間勉強することが必要となります。
 論文の二次試験は、主に事例問題であり、法律の知識がある前提で、法律の使い方を問われます。論文で回答することにより、理解できているか否かがはっきり分かってしまいます。限られた時間内に、法律で解決する論理展開の構築ができることが必要となります。
 面接の三次試験は、試験官2名と密室で行われます。口頭で出題され、口頭で回答します。試験官の要求に対して、時間内に正しく回答することが必要となります。
 これらの試験に合格するためには、3000時間は必要だと言われています。勉強期間も数年に及びます。私も4回目の受験でようやく合格できました。
 弁理士になるには、弁理士試験に合格するだけではありません。実務修習という弁理士としての必要能力を身に着ける研修を受ける必要があります。この実務修習では、講義を受けるだけでなく、レポートを提出することも必要となります。レポートには、実戦的な課題に対し、高い基準の回答をしないと合格になりません。合格になるまで提出します。一度の提出で合格になったことはありませんでした。この実務修習を終えると、弁理士として登録でき弁理士になれます。
 一次試験、二次試験、三次試験、実務修習のために、自信を持って勉強したと言えます。大学受験の時よりも勉強しました。これらを終え、弁理士としての必要最低限の知識は身に着けたと思います。この勉強したことを社会に役立てたい、さらに弁理士として経験を積み信頼される弁理士になりたいと思っております。

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