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ラグビーワールドカップと商標~商標の使用とスポンサー料~/弁理士 広江 政典

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 今年の9月20日から開催される第9回ラグビーワールドカップのような、世界規模のスポーツ競技大会と商標には深い関係があります。まずは、ラグビーワールドカップに関係する登録商標の一部を紹介します(図参照)。
 登録商標は商標権者又は商標権者から許諾を受けた者しか使用できません。これらの登録商標を付した商品の販売やこれらの登録商標を使用した宣伝広告を行うには、商標権者である公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会など商標権者の許諾が必要です。登録商標やこれに紛らわしい商標を無断で使用する行為は、商標権を侵害する行為です。一方、個人がブログなどで「RUGBY WORLD CUP の試合を見てきたよ!」と記載する行為は、特定の商品やサービスについて商標を使用する行為ではないため、商標権の侵害にはあたりません。
 1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックは、世界規模のスポーツ競技大会が商業的に成功した初の事例といわれています。ロサンゼルスオリンピックが成功した要因の1つに、スポンサー企業を一業種一社として、スポンサー企業の価値を高めたことがあります。しかし、スポンサー企業を一業種一社にしたことによりスポンサー企業は減少し、スポンサー企業が負担するスポンサー料は高額になりました。そこで、商標制度を活用して、スポンサー企業以外の者による大会ロゴマークなどの無断使用を禁止し、また、試合会場やその周辺で行われる便乗行為も禁止して、スポンサー企業のメリットを守りました。
 ラグビーワールドカップのような世界規模のスポーツ競技大会の運営には多額の資金が必要であり、資金の提供者であるスポンサー企業は運営に欠かせません。スポンサー企業は、スポンサー料との引き換えに、試合会場、テレビ、ラジオ、ウェブサイトなどの宣伝広告に大会ロゴマークなどの登録商標の使用や、大会の公式グッズの製造・販売が許されるといったメリットを受けることができます。また、世界規模のスポーツ競技大会のスポンサー企業になることは、ブランドイメージの向上にもつながります。近時企業は利益の追求だけでなく社会的責任も問われるため、スポンサー企業には、スポーツ振興による青少年の育成や試合会場となった地域の支援といった、社会への利益の還元という意味もあるようです。
 登録商標の使用許諾によるスポンサー料により世界規模のスポーツ競技大会が支えられている実情から、ラグビーワールドカップと商標も無関係ではありません。

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