商標法の最新動向~保護対象拡大とファストラック審査~
- 商標(ブランド)
- 権利取得
【保護対象の拡大】
「小売店のデザインとレイアウトで構成される商標」。このような建物の内外装、その他に乗物の内外装などが、令和2年4月1日より「立体商標」の一類型として商標法の保護対象に加わります(実際には、内外装を図示して特定する必要があります)。これは、特徴的な工夫を凝らした店舗等の内外装でブランド価値の創出を試みる事例が あり、更にその背景に、音・匂いや触感といった要素を用いた五感に訴えるブランディングが見られる事実から、多様化するブランド要素を保護するための動きです。
保護対象の拡大は、新たなブランド要素について独占権の取得を認めるものであり、他人が同一・類似のブランド要素を使用することを排除し得る点でメリットがあります。一方で、商標登録の対象となる以上、追加された建物等の内外装について、第三者が商標出願・登録を行っていないか調査する必要が生じるかもしれません。
令和2年4月1日施行予定の改正意匠法でも、建築物の意匠(乗物の意匠は既に保護対象です。)が保護対象に加わります。追加された保護対象についての権利取得、これらを用いたブランド構築にご興味のある方は、是非弁理士にお問合せ下さい。
【ファストトラック審査】
商標登録出願の審査の中で試行中のファストトラック審査について、運用の変更がありました。従来、一定要件を満たした商標登録出願については、通常より2ヶ月早く審査に着手する(平均10ヶ月)とされていましたが、令和2年2月1日以降に出願された商標登録出願については、従来と同じ要件で、出願日から約6ヶ月で審査に着手すると変更されました。
ファストトラック審査の適用のためには、次の(1)と(2)の両方の要件を満たす必要があります(その他の細かな定めについては、特許庁のウェブサイトをご確認下さい)。
(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務(以下、「基準等表示」)のみを指定している商標登録出願
(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願ファストトラック審査の適用には、商標登録出願の手続きに加えて、別途の書面提出は不要です。早期の商標登録成立の必要性・ご希望がある方は是非ご利用下さい。
弁理士 前田 大輔