弁理士って、コンサルもするの?
- 戦略/活用
中小企業の経営力を高めるため、知的財産(知財)の役割が見直されてきています。「知財経営」という言葉も、それほど耳新しくはありません。知財制度は、発明や、商標を守るためのものと考えられていますが、それだけではなく、会社内に蓄積され、日常業務の中で埋没されているノウハウを、見える化するという役割もあります。従業員の退職などで、せっかく培われた技能が散逸する。事業承継の際にノウハウが伝承されない。その結果、知らない間に、企業の競争力が失われていく。これを避けるためには、知財の見える化(権利取得)と、秘密管理による秘匿化との仕分けが必要となります。定期的な知財の棚卸や、門外不出な技術の指定管理が必要ということです。新製品ができたら特許出願、商標出願をするという、ルーチンワークから脱却し、経営の中核に知財を落とし込んだ、長期的な知財戦略が、いま求められているのです。
このような経営と知財の関係を視野に入れますと、私共弁理士は、出願代理だけではなく、企業の経営に知財面からアドバイスできるコンサル能力や、社会のニーズに耳目を配る感知能力が求められます。弁理士は、数十時間の研修が義務付けられていますが、これだけの勉強だけでは足りません。弁理士登録して40年以上となりますが、弁理士は大変な仕事だと、今頃思い知らされている毎日です。
弁理士 松浦 喜多男