新技術を利用したマーケットの法的リスク/弁護士・弁理士 北上 拓哉
新聞掲載記事- 著作権
- 時事
近時、技術の進歩とともに、新たな市場経済が生まれています。例えば、NFT(非代替トークン)を利用したアート作品や音楽等のデジタルコンテンツをバーチャル空間で購入するといったメタバースがこれに当たります。実際に、海外では、オークションでNFTアート作品が、数十億円で落札されており、今後さらなる市場経済の拡大が予想されています。
しかし、著作権法その他の知的財産法は、立法時にNFTを想定していませんので、この分野の法整備はこれからです。NFTは、デジタルデータが唯一無二であることを担保する技術ですが、デジタル画像などのコピーを禁止する技術というわけではありません。また、現在の法制度においては、NFTアート作品を購入したからといって、著作権も当然に購入者のものになるというわけではありません。購入したNFTアート作品を複製して、インターネット上にアップロードをした場合、著作権侵害になる可能性があります。著作権法違反をした者は、民事上の損害賠償責任を負うだけでなく、刑事罰が科されるおそれもあります。
デジタルコンテンツの活用は、今後、市場経済においても期待される分野です。著作権など知的財産権についてわからない点があれば、身近な専門家にご相談ください。