企業弁理士の仕事/弁理士 森加 泰
新聞掲載記事 約2年前に特許事務所から企業に移りました。以前、企業で技術者として勤務していたことはありますが、企業弁理士として勤務することは初めの体験です。
企業弁理士の仕事の内、特許事務所の仕事にないものとして、技術者への教育業務があります。社内の技術者には、知的財産について、良く理解している技術者から、全く知らない初心者まで、いろいろなレベルの人がいます。そのため、技術者のレベルにあわせた教育と対応が必要となります。
技術者は常に課題と向き合っていて、その課題を乗り越えるための工夫をされています。知的財産を良く理解している技術者は、その工夫が発明となりえることを理解した上で相談に来られます。一方、初心者の技術者は、その工夫が発明となりえることにも気が付いていないため、相談に来ることも稀です。そのため、初心者の技術者に対しては、業務の内容及び困りごとを聞き、その困りごとに対して今考えている工夫を聞き出します。そして、その工夫が発明となりうることを教えた上で、工夫のポイントがどこにあるのか、どうすればもっとよくなるかを相談します。このような相談を2~3回繰り返すことで、信頼関係が深まり、自主的に相談に来られるようになります。
教育業務を通して、技術者との信頼関係を強化し、多くの発明を発掘できればと願っています。