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不正競争防止法改正の概要~データ保護に関して新設~

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 平成30年5月30日に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が公布されました。不正競争防止法の目的は、事業者間の公正な競争を確保するため、不正競争行為に対して民事措置や刑事措置を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することです。


<改正の背景>

 AI、Iot、ビックデータ等の活用が進展する中、安心してデータを取引できる環境整備が求められます。


<改正点>

 1.「限定提供データ」の不正取得等に対する民事措置の創設(施行日2019年7月1日)

 2.「技術的制限手段」の効果を妨げる行為に対する規律の強化(施行日2018年11月29日)

 3.証拠収集手続の強化(施行日2019年7月1日)

 以下、今回の改正で新設された項目1についてのみ説明します。


<限定提供データ>

 限定提供データとは、価値あるデータのうち、一定の要件を満たしたデータのことです。一定の要件とは、

 ①ID・パスワードなどにより特定の者に提供する情報であり、

 ②情報保有者が電子データで管理している情報であり、

 ③相当量蓄積された技術上又は営業上の情報であることです。

 例えば、蓄積・分析された消費動向データや車両走行データであって、会費制で提供するデータ、又はコンソーシアムのメンバーだけで共有するデータは、限定提供データとなり得ます。反対に、一般に公開されている情報、紙のみで管理されている情報、及び蓄積されていない情報等は、限定提供データではありません。


<不正競争行為>

 以下に列挙する「限定提供データに関する不正競争行為」が損害賠償請求や差止請求の対象となります。

 ①パスワードを破るなどにより限定提供データを不正に取得し、使用又は開示する行為

 ②限定提供データを正当に取得し、図利加害目的で開示、又は、図利加害目的かつ任務違背により使用する行為

 ③不正な経緯を知って限定提供データを取得し、使用又は開示する行為

 ④不正な経緯を知らずに限定提供データを取得し、不正な経緯を事後的に知り、契約等で決められた権原の範囲(例えば契約で許可された開示範囲)外で開示する行為


 今回の改正では、契約に基づく自由な取引を前提とし、取引に対して事業者の萎縮を招かないように、不正競争行為の対象が絞られています。つまり、悪意性の高い行為のみを民事措置の対象としており、通常の正当な事業活動が阻害されないように配慮されています。さらに詳細には経済産業省HPをご確認ください。                                            

弁理士 瀧川 彰人

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