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秘密保持契約は信心と同じ?

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 最近秘密保持契約をテーマとした講演をよく頼まれる。しかし個人的意見だが、秘密保持契約は鰯の頭と同じだと思う。無いよりはあった方が良いが、契約したから守ってもらえると思うのは信心と同じであり、それのみで企 業秘密を守れるものではないからである。

 そもそも契約書を取り交わす目的は、後日裁判となった場合の証拠とするためである。となれば、金銭に換えられない本当に重要な企業秘密については、漏れてしまったら終わりである。契約で定められるのは損害賠償のみだからである。重要なことは、秘密保持契約書の条項もさることながら、秘密が漏れにくくする工夫にある。しかし、秘密漏洩対策は日常的な情報の使い勝手と反比例する。厳重に秘密を管理しようとすれば、社員は不自由で困る。そのため、各企業において秘密情報のランク分けをし、そのレベルに応じた対策を検討しなければならない。こうしたノウハウを講演で語るのだが、残念ながら聴衆の大半は知財部の新人である。彼らに対策を教えても、それを実現する力は無いし、その立場でもない。知財担当者が早く会社のトップに出世してくれないものか、と思う。

弁護士・弁理士 後藤 昌弘

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