国際知財委員会の活動紹介
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日本弁理士会東海会国際知財委員会は、東海会地域内(愛知・岐阜・三重・長野・静岡)の企業が諸外国において知的財産権を活用するために役立つ情報の収集及び発信、それらを円滑に行うための国際交流などを通じて、地域社会の国際知財戦略や対応に貢献することを目的としています。2019年度、国際知財委員会は活動の一環としてロサンゼルスを訪問しましたので、その概要をご紹介します。
○米国・ロサンゼルス訪問
名古屋市とロサンゼルス市とが姉妹都市であることをご存知でしょうか。2019年は両市が姉妹都市になってから60周年となる節目の年でした。また、公益財団法人あいち産業振興機構の2019年版「2018年における愛知県内企業の海外事業活動」によりますと、愛知県内の企業が最も多く進出しているアメリカ合衆国の州は、ロサンゼルス が位置するカルフォルニア州だということです。カルフォルニアやロサンゼルスは、東海地域との繋がりが強い地域と言えます。
国際知財委員会では、2017年にロサンゼルスを訪問し、当地の知財法研究団体であるロサンゼルス知的財産権法協会(LAIPLA)との関係を構築して来ました。そして、LAIPLAの“Washington in the West”と題されたセミナーイベントにスピーカーとして参加を要請されたため、イベントの開催日を含む2020年1月27日から2月1日までの5日間、日本弁理士会の国際活動センターと合同の派遣メンバー5名でロサンゼルス市とその近郊を訪問しました。
○セミナーイベント
セミナーイベントでは、国際活動センターの佐藤俊司弁理士が、「アジアにおける商標保護戦略」をテーマにしたパネルディスカッションにパネリストとして登壇し、日本の商標制度の特色や米国制度との比較をわかりやすく紹介しました。現地の参加者からも好評を博し、アジア進出に興味があるクライアントを持つロサンゼルス近郊の法律家に、有用な情報を提供することができたと思います。
また、最新の米国特許・商標に関するセミナーも多数行われ、派遣メンバーには、現地の知財法律家や審査官から直接聞いた話を日本に持って帰って来られたことが大きな収穫でした。今後、得られた知見を地域に還元して行きたいと思います。
更に、そのイベントには、米国特許商標庁のイアンク長官もランチョンセッションのスピーカーとして登壇しました。イアンク長官ご自身がルーマニアからの移民だということで、アメリカンドリームは今もあると思うかとの質問に、アメリカンドリームは今でもいつの時代でもあるし、「発明」とは、それ自体の定義からして起業家その ものであり、それこそアメリカンドリームであると述べられていたことが印象的でした。更に、AI(人工知能)はあるといいな、ではなく、なければならないものであるとも述べられていました。米国特許商標庁の長官自ら、AIに注目している様子が伺えました。
○ロサンゼルス・名古屋姉妹都市委員会
派遣メンバーは、ロサンゼルス名古屋姉妹都市委員会を訪問し、委員長のワインバーグ照子さんと意見交換を行いました。ワインバーグ委員長は一宮のご出身で、お話から地元の東海地域のために貢献したいという熱い思いを感じました。昨年姉妹都市60周年を記念したイベントを各種企画し、大奮闘された様子を聞かせて頂きました。日本企業の米国進出を促すイベントの企画を構想しておられ、国際知財委員会としても知的財産に関する面からイベントに協力する可能性について意見交換しました。
○結び
東海会国際知財委員会は、地域に根差した国際知財活動を行い、引き続き東海地域企業の海外進出を内外からサポートしてまいります。お気軽にお声がけください。
国際知財委員会 弁理士 牧内 和美