買った特許が使えなかった~特許を買うときは事前に弁理士に確認を!~
新聞掲載記事- 特許(発明)
- 契約/紛争
昔、勤務弁護士時代の元ボスから相談を受けた。「依頼人は発電機に関する特許権者で、この特許を3千万円で相手の会社に売った。しかし何年たっても依頼人が試作品を作れなかったため、買い手の会社が契約を解除して3千万円の損害賠償を請求してきた。何か反論のネタは無いか。」というのである。売り込み文句として、「この発電機を100ワットの電源に差し込めば120ワットの電気が起こせる。」と依頼人が説明し、買い手の技術顧問が「理論上はあり得る。」と言ったため相手は購入を決めたらしい。特許公報を見ると、「従来の発電機よりも格段に発電効率の良い発電機」とある。しかし図を見る限り、素人の私が見てもとても作動するとは思えない。それで元ボスには、「当方の反論は、過失相殺のみ。良く調べもせずに買った側にも過失がある。」と説明したら、「その主張はできない。実質的な依頼人はこの権利の新たな買受人なんだ。」と言われた。
特許査定が下りていればこの技術は直ぐに商売になる、そう誤解している人は結構いるようである。そのおこぼれを頂戴している我々弁護士が文句を言う筋合いではないのだが。
弁護士・弁理士 後藤 昌弘