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商標の指定商品と指定役務~商品や役務の指定は慎重に~

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 ビジネスを行う際、まず、自社の商品やサービス(役務)に使用するネーミングを検討します。今、窓から、「アート引越センター」のトラックが見えましたが、この名前には、芸術(アート)的に荷物を運ぶとの意味と電話帳の50音順の最初(「あ」)で見つけやすい位置に掲載される社名にとの思いが込められていると聞いたことがあります。「アート引越センター」(登録第3018415号など)は、私にとって、「あなたのまちのーゼロイチニイサン♪」のメロディと共にブランドとして刷り込まれています(音の商標登録第5990616号)。

 このように、商標は、ビジネスを行う上での大切なツールですので、自社の商品やサービスを守るために商標出願をして登録を行うことが重要です。

 そして、ネーミングについて出願を行う際、商標の決定と同じくらい重要なのは、どの商品・役務を指定して出願するかということです。出願時に指定された商品や役務のことを「指定商品」「指定役務」と呼びますが、現時点で使用が想定されている範囲だけでなく、将来使用が想定される範囲も考慮して、「指定商品」や「指定役務」の検討を行いましょう。

 一つ例を挙げます。手作りのサンドイッチを食べてもらう飲食店の店名(ABC)を商標登録したい人は、まず、「飲食物の提供(サンドイッチの提供)」(第43類)という役務を指定します。これは商品を販売しているのではなく、店内で飲食してもらう、いわゆるレストラン業務に該当する役務です。

 次に、商品「サンドイッチ」(第30類)を指定する必要があるか検討しましょう。テイクアウト業務はありませんか?

 将来、テイクアウト専門のサンドイッチ屋さんを営業する可能性はありませんか?持ち帰ってもらうサンドイッチを包む包装紙や袋に商標「ABC」が印刷されるなら、商品「サンドイッチ」を指定しましょう。「サンドイッチの提供」と「サンドイッチ」とは、同一ではないので、両方を指定しておかないと、他人に同じ商標(ABC)を登録されてしまい、使用できなくなるリスクが生じます。

 また、テイクアウト専門のサンドイッチ屋さんなのに、間違って、役務「サンドイッチの提供」(第43類)だけを指定してトラブルが生じてしまうような例も実際に起きています。これについてはまた別の機会に譲りますが、最後に、「商品や役務の指定は慎重に、困ったら弁理士に」のキャッチフレーズを紹介して、本日のコラムを終了します。

弁理士 黒瀬 勇人

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