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早く権利化するには?~特許の早期審査~/弁理士 平松 大輝

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「自社で特許出願中の発明の模倣品を他社が販売しているだと?」
 そんな場合には、出願人としてはその特許出願について早く権利化したいですね。今回は、早く権利化したい場合に利用できる早期審査について説明します。

<メリット>
 早期審査を利用すると、特許庁において通常よりも早期に審査が行われます。具体的には、図に示すように、特許出願全体では、出願審査請求をしてから平均10.2ヶ月以内に最初の審査結果が通知される一方で、早期審査を利用して出願審査請求をした場合、出願審査請求をしてから平均2.7ヶ月以内に最初の審査結果が通知されます。このため、早期審査を利用して出願審査請求した場合、通常よりも約7.5ヶ月早く最初の審査結果を得ることができます。これにより、早期権利化を目指すことが可能になります。

<利用要件>

 早期審査の対象となる出願は、中小企業、個人、大学、公的研究機関などの出願、外国にも出願している出願、既に実施しているか2年以内に実施予定の発明に係る出願などです。なお、その他一定の要件を満たさなければ早期審査を利用できない場合があります。

<手続き>
 上記要件を満たしていれば、早期審査に関する事情説明書を特許庁に提出することで、早期審査を利用できます。事情説明書には、早期審査の対象となる出願であることの説明、先行技術文献と本願発明との対比などを記載します。なお、事情説明書の提出は、出願審査請求と同時でも、出願審査請求の後でもよいです。

<費用>
 早期審査を利用するための特許庁に対しての費用は、かかりません。ただし、早期審査を利用するための手続きを代理人に依頼する場合には、代理人手数料が別途かかる場合があります。また、出願審査請求にかかる費用は、早期審査を利用しない場合と同様にかかります。

<早期審査を利用すべきか>
 どんな特許出願でも早期権利化を目指す方がよいとも限りません。例えば、他社動向や自社製品の販売状況など、時間をかけて見極めた方がよい場合があります。このような場合、早期審査を利用することなく、出願審査請求も期限ぎりぎりまで待ってから行う方がよいです。早期権利化を目指すべきか、権利化を遅らせるべきかを事前に検討し、早期権利化を目指すべきであれば、早期審査の特許庁費用もかからないので、是非、早期審査の利用も検討してみてください。

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