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出願人の氏名又は名称~特許検索するときに知っておきたいこと~/弁理士 助廣 朱美

新聞掲載記事
  • 特許(発明)

 あの人「特許出願した」と言っていたけど、どんな出願だろうと気になったことはありませんか?
 特許出願をすると、原則として出願から1年6ヶ月経過後に出願公開公報によりその内容が公開されます。出願公開公報は、例えば、無料で使える特許検索データベースの特許情報プラットフォームで検索することができます。出願公開公報には、出願人や発明者の情報が表記されるため、出願人の氏名又は名称や発明者の氏名で検索することもできます。
 こうした検索をするときに、いくつか知っておきたいことがあります。
 まず、特許出願できるのは、自然人(個人)又は法人です。法人格のない団体は特許出願することはできず、個人事業主が屋号(○○商店など)の名義で特許出願することもできません。個人名で出願している可能性が高いので、出願人や発明者を個人名で検索すると見つかるかもしれません。
 出願人が自然人の場合、出願人の氏名は、原則として戸籍上の氏名で表記されます。そのため、ペンネーム、芸名、雅名等の変名や通称名で検索しても見つかりません。なお、令和3年10月から、旧氏(旧姓)の併記(例1参照)が認められるようになったため、旧氏で検索できる場合があります。発明者の氏名も同様です。
 出願人が法人の場合、出願人の名称は、原則として登記簿等の公簿上に登記されている名称で表記されます。登記されている名称と名刺などの記載とが違う法人もあるので、名刺などを参考に検索しても見つからない場合があります。ただ、登記は漢字で名刺はカタカナ、登記はカタカナで名刺はアルファベット程度の違いの場合が多いので、少し変えて検索すると見つかるかもしれません。
 また、特許庁のコンピュータシステムの都合上、JIS-X0208-1997に準拠したシフトJISコードで定められた文字以外は、原則として、置き換えた漢字又は読みを▲▼で挟み(例2参照)、本来の文字とは違うことを示すという運用がされています。氏名や名称が異体字を含む場合などには、この点をおさえて検索すると見つかるかもしれません。
 更に、外国人の氏名や名称は、原則として、その読みが原語表音どおりにカタカナで表記されます。ただし、漢字使用国の外国人の氏名や名称は、漢字で表記されることがあります。原語表音どおりのカタカナが複数パターン考えられたり、漢字で表記されたりすることもあるため、外国人の氏名や名称で検索するのは、少し苦労するかもしれません。なお、ローマ字で表記可能な外国人の氏名や名称は、原語表記での検索が可能な場合があるので、試してみるとよいかもしれません。
 このような点をおさえて、気になっていた出願を探してみてはいかがでしょうか?


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