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日本弁理士会東海会 加藤光宏会長に聞く

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 日本弁理士会東海会の2025年度の会長に、加藤光宏氏(特許法律事務所樹樹弁理士・弁護士)が就任した。東海会は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県下の弁理士963人(2024年5月末)の弁理士で組織している。うち7割は大手製造業の本社などが集積する愛知県で働いている。東海会は中小企業やスタートアップなど取引先の裾野拡大や業容拡大をめざし、さまざまな活動を展開している。加藤会長に新年度の抱負を聞いた。(聞き手・坂本和優)

-新会長の肝いりで、ミッションやキャッチフレーズを掲げる。
 私たちが所属する東海会の25年度のミッションは『知的財産が、当たり前に尊重される社会をめざす!』と設定しました。その上で、このミッションを達成するためのキャッチフレーズとして『知的財産 ステキ財産』とすることにしました。キャッチフレーズには、二つの意味を込めています。一つは発明家目線です。世の中にない新しい製品や技術などが対象という意味で、そもそも知的財産はステキだと思います。もう一つは、知的財産を活用し、事業を支えるステキな財産にしようという思いです。実は『知的財産 ステキ財産』のキャッチフレーズを商標登録出願しました。後々紛争を招くリスクを排除したいからです

-25年度の活動の目玉を教えて下さい。

 まず、『弁理士の日記念フェスタ』を大幅に刷新し、『知財フェスタ』にします。10月4日、名古屋市中区栄の中部電力ミライタワー(旧名古屋テレビ塔)の下で、20代~30代の若い世代に照準を絞った催事を企画しています。インフルエンサーや芸人さんらを招く催事などを通じて、知財制度の普及や弁理士の知名度向上を図りたいと思っています

-知的財産を理解してもらう取り組みにも一層力を入れる。
 『知財教育モデル東海』と命名し、小学生から中学校、高校、高専、大学とそれぞれの年代に合わせた教育に力を入れたいと思います。たとえば、小学校では、知財マインドの育成を掲げ、創作意欲の喚起、知的財産を尊重する心を育む活動にします。知的財産を尊重する心とは、簡単に言えば、人まねをするなということです。教育機関や教育委員会、各地の少年少女発明クラブとも連携し息の長い活動にしていきたいと思っています

-弁理士の業容拡大もめざしている。
 これまで接点が少なかった農林水産や伝統工芸の分野などで知財の普及や支援を進めていきたいと思っています。ICTを活用するスマート農業など、知財が重要な経営課題になるケースも出てくると思います。伝統工芸など地場産業でも商標登録などのニーズがあります。新しい委員会『地域資源IP委員会』を立ち上げて、持続的な活動にしていきたいと思います
 また、「企業と弁理士が10人程度のグループに分かれて座談会形式で行う『知財経営サロン』にも引き続き力を入れます。講師が一方的に話すセミナーや相談したい内容が明確な相談会とは異なる第3の道です。参加される中小企業の経営者との間で率直な意見交換を行うことができる場になっています。本年度は岡崎市などで開催する予定です

-組織改革への意気込みは。
 4月に東海会で初めて女性副会長が誕生しました。村松亮子さんです。全国の弁理士のうち女性の比率は20%未満です。女性活躍推進という点で、課題は多いと認識しています。東海会では、女性弁理士に声をかけて女子会のような場を設け、女性にとって働きやすい、働きがいのある弁理士業に向けて課題を洗い出し、改善していきたいと思います

 

 

 

 

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