弁理士って知ってますか?~これであなたも弁理士「通」~
新聞掲載記事- 弁理士会
弁理士は、東海地区全域でも800名ほどしかいませんので、これまでに一度も会ったことがないという人が多いのではないでしょうか?
弁護士と違って弁理士は、法律の中でも知的財産法を中心に扱います。また、理工系出身の人が多いのも特徴です。
弁理士の仕事や、全国にどれだけいるのか、どうやったら弁理士になれるのか…など説明していきましょう。これを読めば、あなたも弁理士「通」になれる!
1.弁理士とは
発明や商品名などの知的財産権を守るスペシャリストです。
私たちの身の回りにある製品は多くの知的財産権によって保護されています。発明は特許権、デザインは意匠権、ネーミングは商標権によって保護されます。これらの権利化に力を発揮するのが、法律と専門知識に精通した弁理士です。
弁理士は国家資格保有者であり、弁理士の仕事ができる職場は大きく分けると、「特許事務所・法律事務所」「企業知財部」の2つです。
特許事務所等では、弁理士の独占業務である出願等の代理業務や鑑定などの仕事ができます。特許戦略等のコンサルティング、知的財産に関する訴訟にも関わります。
一方、企業知財部では、出願等の業務は外部の特許事務所に任せることが多く、企業内部の研究開発部門に対するリエゾン活動や知財戦略の検討などを行います。発明者からヒアリングして発明発掘を行ったり、知財情報を経営・ビジネスに役立てないか解析・分析します。
このように、同じ弁理士でも、特許事務所と企業知財部では求められるスキルはかなり異なります。
2.業界の現状(2020/1/31現在)
・弁理士数:11,484名
男性84%・女性16%、文系19%・理系79%・その他2%
・就業形態:
特許事務所等経営36%・特許事務所等勤務38%・会社勤務24%・その他2%
・登録年数:
5年未満16%・5~10年27%・10~20年36%・20年以上21%
・年齢分布:
30歳未満0.5%・30~40歳14%・40~50歳38%・50~60歳24%・60~70歳13%・70~80歳8%・80歳以上2.5%
・地域別分布:(東京一極集中)
関東67%(東京54%)・近畿21%(大阪15%)・東海7%(愛知5%)・その他5%
・事務所における弁理士数:
一人事務所が70%、全体の93%が5人未満の事務所。
3.弁理士にはどうすればなれる?
・弁理士試験に合格する。
毎年1回行なわれる弁理士の国家試験に合格し、弁理士登録をする必要があります。学歴や年齢など、受験資格に制限はありません。弁理士試験は5月に1次試験の短答式、7月に2次試験の論文式、10月に3次試験の口述式が行われ、論文式試験は短答式試験に合格した者、口述試験は論文式試験に合格した者に行われます。
・一定の資格をもつ人は、弁理士試験を受けなくても、弁理士となる資格を有します。
「弁護士法により弁護士の資格を有する者」「特許庁において、通算7年以上審判官または審査官として、審判または審査の事務に従事した者」
4.令和元年度弁理士試験の結果
受験志願者数が3,862人に対し最終合格者数は284人、合格率は7~8%で、合格者平均受験回数は約4回。
・年齢別:20代17%、30代49%、40代21%、50代10%、60代以上3%(最年少20歳、最年長76歳)
・職業別:会社員46%、特許事務所35%、無職9%、公務員5%、学生3%、その他2%
・男女別:男性74%、女性26%
・出身校系統別:理工系78%、法文系17%、その他5%
日本弁理士会東海会 副会長
弁理士 岡本 武也