日本弁理士会東海会 岩倉民芳会長に聞く
新聞掲載記事- 弁理士会
日本弁理士会東海会は4月1日、新会長に岩倉民芳氏(あいち国際特許事務所所長)が就任した。責任ある団体であることを明確にするために東海支部から「東海会」に名称変更して2年目、中小企業支援拡張のため地元金融機関との協調深化を本格始動して2年目。東海会の中長期的成長を左右する大切な1年となる。「弁理士っていいね、 弁理士って信頼できるね、といわれるような存在を目指し、微力ながら重責を果たしたい」と話す岩倉会長に本年度の運営方針や重点事業を聞いた。
―就任の抱負から。
新型コロナウイルスの感染拡大により、春の事業のほとんどが中止となってしまった。早期に沈静化してくれることを願っている。そんな中での船出だが、嘆いてばかりでは始まらない。できるところから一つひとつ、着実に事業を進めていく。
1年間の副会長を経て会長に就任し、少しは心の準備をしてきた。5県を管轄する東海会に所属する弁理士は1千人規模で、その組織のトップとして重責をひしひしと感じている。東海会は全国に九つある地域会の中でも主体的に動くことが特徴。歴代会長(支部長)の教えを基礎に、確実に組織運営していきたい
―そもそも弁理士会の役割とは。
弁理士は「知財の専門家」であり、社会貢献を担う立場だ。その弁理士が集まる弁理士会は、個々の弁理士では難しい告知啓蒙活動や他の業界団体との連携推進を進めていくのが役割といえる。弁理士の社会的知名度を高め「弁理士っていいね、弁理士って頼りになるね」といわれるような事業を展開していきたい。
―本年度の運営方針は。
弁理士の存在を訴えたいのは地域経済を支える中小企業、小中学校、高校、大学などの教育機関、そして広く一般社会と大きく3方面に分かれる。いずれもセミナーやイベントを通じて、弁理士の知財に対する「目利き力」を紹介していく。
―その中で重点を置く事業は。
やはり中小企業との連携を深めることが大切だ。ただ、一方的に中小企業に対してこちら(弁理士会)の存在を訴えても限界がある。そこで前年度から、地域に根差した金融機関と連携する事業を展開している。
―具体的には。
弁理士会と金融機関や信用保証協会が覚書を結び、中小企業向け知的財産セミナーや講演会を共同開催している。
金融機関は中小企業としっかりした信頼関係があり、セミナーなどの参加率は弁理士会の単独開催より高い。弁理士会にとって力強い応援団といえる。
もちろん金融機関に頼ってばかりではない。相乗効果的に金融機関にも恩恵がなければこのような連携は続かない。金融機関は現在、融資先を探すのに苦労していると聞く。そんな時、弁理士の持つ「目利き力」が役立つと考え、連携する金融機関の職員がいつでも知財に関する相談ができる「知財ホットライン」を開設した。中小企業、金融機関、弁理士会の3者が相互に力を合わせ、「Win-Win-Win」の関係を拡大、発展させていく。
ここまで積極的に動けるようになったのも、これまでの当会の長年にわたる地道な社会貢献活動のうえに、東海会という主体的な名称を持ったことが大きい。この流れを大切にし、着実に軌道に乗せることが会長の役割だと認識している。