フリーランス新法と著作権/弁理士 永田 由美
新聞掲載記事- 著作権
昨年11月、フリーランスの働き手に企業等が業務を発注する際に適用される、いわゆる「フリーランス新法」が施行されました。企業などが、フリーランスのライターやデザイナーに記事やロゴ、キャラクターといったコンテンツの制作を発注する場合、原則として同法の適用があります。
コンテンツ制作ではとかく著作権の取り扱いが大きな関心事で、筆者も時折相談を受けます。最近はこの新法についても尋ねられるのですが、同法には著作権など知的財産について直接規定する条項はありません。
ただし同法には、フリーランスに業務を発注する側に、「取引の条件」を書面などで明示することを義務付ける規定があります。
先日、同法を管轄する公正取引委員会および厚生労働省の説明を聞く機会があり、「知的財産権の譲渡や許諾の範囲」もこの条件に該当し、支払う報酬についても「譲渡や許諾に伴う対価」として見積もった額が判るようにする必要がある、とのことでした。
著作権の譲渡やライセンスに際し、当事者間で具体的な権利の範囲や対価を相互に確認することがトラブル回避に不可欠なのは言うまでもないことなのですが、今般の新法により、法律上の規制も受けることになったと言えるでしょう。