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万博と知的財産権~ビジネス・技術アイデアコンテストのお知らせ~/弁理士 三尾 泰史

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 4月13日(日)から10月13日(月)までの184日間にわたって、大阪の夢洲(ゆめしま)で2025年大阪・関西万博(以下、大阪万博)が開催されます。大阪万博は、2005年に開催された愛・地球博に続き、20年ぶりに日本で開催される国際博覧会で、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにしています。この大阪万博は、日本国内外から多くの人々や企業が集まり、技術や文化の交流が活発に行われる場となります。また、大阪万博では、最先端技術をはじめとする世界の英知が結集し、新たなアイデアを創造・発信する機会が提供されます。
 このように、大阪万博は、各国の最新技術や創造的なアイデアが一堂に会する場であり、それらを目にした人々が新たなインスピレーションを得る場でもあります。しかし、新しい技術や革新的なデザインを公開する側には、その技術やデザインが模倣されたり、不正利用されたりするリスクが存在します。このため、展示する技術やデザインの価値を特許権、意匠権、商標権などの知的財産権で守ることが重要となります。
 特に、万博のような国際イベントでは、海外での模倣品の流通を防ぐために知的財産権の国際的な保護も重要です。例えば特許協力条約に基づく制度を利用して国際的に特許権を取得したり、ハーグ協定やマドリッド協定に基づく制度を利用して国際的に意匠権や商標権を取得したりすることも可能です。一方で、展示内容を観覧する側にとっては、知的財産権に守られている技術やデザインを流用すると、意図せずに知的財産権を侵害する可能性があります。このため、展示品の模倣のみでなく、応用した技術やデザインを利用する場合、十分な注意が求められます。詳しくは専門家である弁理士にご相談下さい。
 ところで、いままで日本弁理士会では、今後の未来社会を担う子どもたちに知的財産権を学ぶ機会として、高校生、高等専門学校生及び大学生が自ら考案した発明やデザインを表彰する活動を行ってきました。大阪万博では、この活動に技術体験会を組み合わせた「ビジネス/技術アイデアコンテスト」を行います。
 本イベントの参加生徒・学生には、万博会場に設置する技術体験会ブースで、複数の企業や大学の技術を実際に体験していただき、技術体験を通じて得た知識に基づく新たなビジネスや技術を自由に発案していただきます。また、参加生徒・学生には、発案したビジネスや技術について構想を練っていただき、その成果物を応募していただきます。日本弁理士会は、生徒・学生からの応募作品を選考した後、優秀参加者を表彰します。
 本イベントを通じて、生徒・学生は複数の企業の技術を組み合わせた提案や、一つの技術から自身の知識や発想を活かした独自の提案などを行うことができます。このアプローチは万博のコンセプトである「共創」に則したもので、企業間の「共創」の際に必要な知的財産の整理なども学ぶことができます。そして、イベントでは、実際のハードウェアやソフトウェアを見たり触れたりするだけに留まらず、生徒・学生が持つ柔軟な思考力や表現力をもって、新しいビジネスや技術アイデアを考える機会を提供します。
 さらに、本イベントは、技術体験だけでなく、知的財産も含めたアプローチができる点も特徴です。生徒・学生が提案するビジネスや技術アイデアに関連する知的財産について、弁理士が丁寧に解説することで、知的財産を含めたビジネス/技術アイデアを考えることができます。
 本イベントは、中学生、高校生、高専生、大学生で構成される3人~5人のグループで参加することができます。詳しくは日本弁理士会HP内の特設サイトをご覧ください。

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